千葉 孝 , 石川 弘孝 , 亀卦川 尚子 (一関高専);村上 義弘 (東北大);塩原 融 (SRL)
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Abstract: 本研究では、YBCO超電導線材の基板として最も一般的に用いられているハステロイC-276の熱処理による組織変化が、その機械的特性(ビッカース硬さ)と電気抵抗に与える影響を明らかにする。YBCO線材は、超電導層の成膜時に850℃程度の高温に置かれる。また、酸素ドープのために400℃で長時間アニールされる。そこで、300℃〜1000℃での熱処理がハステロイ圧延板の硬さと電気抵抗に与える影響と、組織変化に及ぼす影響を調べた。その結果、圧延上がりのハステロイ薄板の場合には、ビッカース硬さと電気抵抗は熱処理温度に対して極めてよく似た変化を示すことが明らかとなった。どちらも熱処理温度が600℃の時最大となりそれより高温では減少に転ずるSEMによる組織観察の結果を考慮すると、熱処理による微細粒子(直径1μm以下)の析出と圧延組織の再結晶化が、これらの変化の重要な要因となっていると考えられる。