Abstract:　 大型ヘリカル装置のヘリカルコイルの冷媒供給側に減圧熱交換器を追加する改造を実施し，計画通りに，ヘリカルコイルの入口温度と出口温度を各々3.2 Kと3.8 Kに低下させることに成功した。過冷却（サブクール）状態では，コイル出入口の温度差から定常侵入熱および交流損失を評価することが可能となり，また，異なる励磁速度における交流損失を比較することにより，超伝導線のヒステリシス損失の評価が可能である。その結果，定常侵入熱については液面減少速度からの測定値と良く一致し，ヒステリシス損失についてはKimモデルを用いた計算値と矛盾しない結果を得た。通常の1/2の電流変化率3.5A/sであれば，11 kAまでの励磁においてコイル出口温度を4.0 K以下に保つことができることを確認してから，11 kA以上の高磁場励磁を試みたところ，モデルコイルから推定した値よりも低い11.4 kA付近において，ヘリカルコイル最上部付近から常伝導部の片側伝播が始まり，そこよりも高磁場のコイル内周赤道部において止まる現象が２回観測された。励磁に伴う交流損失によって局所的に温度が上昇していると推測し，11 kAにおいて2時間以上保持した後に高磁場励磁を行うように励磁方法を変更してからは，11.5 kA相当までの励磁において常伝導伝播は観測されていない。これらの結果について報告する。