木下 晶雄 , 小西 昌也 , 山田 穣 , 宮田 成紀 , 衣斐 顕 , 塩原 融 (SRL)
kinoshita.akio*istec.or.jp
Abstract: 高温超電導体の実用化のために高臨界電流(Ic)が必要とされ、厚膜化が求められている。PLD法による高温超電導体では、成膜時にサンプル表面を最適温度(高Jc,高Icを得られる温度)とするため、ヒーターでサンプル基板を加熱しているが、膜厚が厚くなるに伴い成膜面の荒れに起因する熱放射によりサンプル表面温度が下がるものと考えられている。このため、厚膜成膜時にはヒーター温度を徐々に上げてサンプル表面が最適温度になるよう調整しているが、ヒーターが高温になると成膜初期である下層への熱影響が懸念され、また、成膜機器の能力限界等から、求める温度まで加熱できない事象も想像される。これに対し、R.H.Hammond and R.Bormannの報告では、最適温度は酸素分圧に相関することが示されており、酸素分圧が低い条件では最適温度が低くなるため、前述の問題を回避することが可能と推察される。今回我々は、O2/Ar混合気体を用いて成膜時の酸素分圧を調整し、酸素分圧の相違による高温超電導体特性への影響について検討したため報告する。