中根 茂行 , 黒田 恒生 , 熊倉 浩明 (NIMS)
NAKANE.Takayuki*nims.go.jp
Abstract: MgB 2線材をPIT法で作製する場合、in-situ法とex-situ法という2種類の方法がある。ex-situ法はこれまで、高Jc化が難しいと思われていたが、最近、出発原料に使用する粉体に適切な物を使用すれば、in-situ線材に匹敵する特性が得られることが明らかになった。問題は、このex-situ MgB 2線材用の粉体の作製方法である。市販されているMgB 2粉体は、研究者が一般的な手法で自作した物に比べ、試薬としては十分優れた部類に属するが、ex-situ線材の作製では、むしろ高Jc特性が得られない粉体である。こうした事実から、ex-situ線材に使用するMgB 2粉体には、一般的な試薬を作製する場合とは異なる、独自の作製指針が存在すると思われる。しかし、こうしたex-situ MgB 2線材用の粉体の作製指針は、今のところ全く明らかにされておらず、関連する研究も、高純度化や微細化など、経験的に良さそうに思われる方向に研究が進められているのが現状である。そこで本研究では、いくつかの条件でMgB 2粉体を作製し、各粉体から作製したex-situ線材のJc特性を比較・検討することで、ex-situ MgB 2線材用の粉体の作製指針を議論する。