土井 俊哉 , 福山 寛大 , 増田 和幸 , 日高 祐貴 , 白樂 善則 (鹿児島大);北口 仁 (NIMS);波多 聡 , 桑野 範之 (九大)
doi*eee.kagoshima-u.ac.jp
Abstract: 電子ビーム蒸着法により,Ni/MgB2多層膜を作製した。基板温度250℃で,MgB2層を16nm形成した後,Ni層を0.2nm形成した。これを繰り返し,トータル厚さ300nmのNi/MgB2多層膜を作製した。MgB2単層膜に磁場を印加しながらJcを測定した場合,柱状結晶がピンニングセンターとして働くために膜面に垂直に磁場を印加したときのJc(⊥)の方が平行に印加したときのJc(//)よりも高いが,多層膜ではほぼ全磁場領域でJc(//)>Jc(⊥)であった.また,多層膜に平行に磁場を印加したときの要素ピン力Fpは,6Tに明確なピークを持ち,この値はNi層間隔16nmのマッチング磁場である17nmとほぼ一致している.以上の結果は,MgB2薄膜に挿入したNi層がピンニングセンターとして有効に働いていることを示唆しているものと思われる。