バルク高温超電導同期電導機における回転界磁バルクの着磁法の研究
Pulse Field Magnetization Study for Gd123 Bulk HTS Cooled with Condensed Neon for Axial Gap Type Synchronous Motor

佐野 友久 , 木村 洋介 , 須尭 大輔 , 山口 久美子 , 和泉 充 (海洋大);井田 徹哉 (広島商船高専);杉本 英彦 (福井大学);三木 基寛 (北野精機);
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Abstract:  我々は、これまでにバルク高温超電導体(以下、バルク体)を回転界磁に用いたアキシャルギャップ型のバルク高温超電導同期電導機を製作して必要な低温・機械要素技術の確立を行ってきた。この電動機は、液体窒素を用いた伝導冷却により円周上に配置した8個の回転界磁バルク体を効率よく冷却し、その回転界磁を挟んで6極のスプリット型渦巻き型固定電機子コイルを配置することで、パルス着磁時における着磁コイルと回転時における電機子コイルの併用を可能としている。しかしながら、液体窒素冷却による温度領域でのパルス着磁では、バルク体の捕捉磁束密度を最大限に引き出すことができず、電導機のトルク密度の向上を妨げる原因となっていた。そこで、バルク高温超電導同期電動機内でバルク体を凝縮ネオンにより冷却してパルス着磁実験を行なった。小型GM冷凍機を用いることによりネオンを凝縮・循環させ、電動機内部の界磁バルク体の表面温度を38 Kまで冷却することが可能となった。また、パルス着磁においては凝縮ネオン冷却に加えて森田ら[1]によって考案された渦巻き型二重コイルを着磁コイルとした。これにより、バルク体とホールセンサのギャップを1.25 mmとしたとき最大捕捉磁束密度1.31 Tを得ることができた。この値は、液体窒素冷却におけるバルク体の最大捕捉磁束密度0.53 Tの約2.5倍であり、電動機のトルク密度はこれまでの132 Nm/m^3から397 Nm/m^3に、電動機の出力においても10 kWから25 kWになると換算される。したがって、本研究により電導機の飛躍的なトルク密度の向上が可能であることを実証した。
[1] E.Morita, H.Matsuzaki, Y.Kimura, H.Ogata, M.Izumi, T.Ida, M.Murakami, H.Sugimoto and M.Miki, : Supercond. Sci. Technol.19 (2006) 1259-1263.