Zrをパターニングした基板上でマルチフィラメント化したYBCO膜のZr直上における通電特性

Current-voltage chatacteristics of multifilamented YBCO films on Zr patterned substrates


藤本 大貴 (九大); 松本 明善, 大井 修一, 立木 実 (NIMS); 寺西 亮 (九大)


Abstract:我々は交流応用を目指したマルチフィラメント構造のYBCO超伝導薄膜を作製する手法として、基板を修飾して成膜することによる超伝導層の結晶配列化に注目している。これまでの報告では、4本のZrを約5~20 μm幅で細線状に等間隔でパターニングしたSrTiO3基板上にMOD法にてYBCO薄膜を作製し、組織観察にてSrTiO3直上では3軸結晶配向したYBCO膜が生成するのに対し、Zr直上では膜状のランダム配向したYBCOや粒子状のCuOが生成することが分かっている。本研究ではZr上にYBCO膜が生成したことに注目し、5μm幅のZrを100~500μmの間隔でパターニングしたSrTiO3基板上にMOD法にてYBCO薄膜を作製し、77 K、自己磁場中で四端子法による電流測定を行なった。その結果、Zrを跨いだ超伝導層間ではゼロ抵抗が観察され、Jcは1.9×10^3 A/cm^2であった。一方、STO直上の超伝導層におけるJcは8.0×10^4 A/cm^2であったことから、Zrを跨いだ超伝導層間ではJcは1/50まで減少することが分かった。以上の結果から、Zr直上でYBCOが生成していてもSTO直上の超伝導層と比較すると電流が流れにくくなることが明らかになった。