高純度銅線を用いた低温・低発熱ステッピングモーターの11K以下における発熱特性

Experimental Characterization of a Cryogenic Low-Heat-Dissipation Stepping Motor Using High-Purity Copper Operating Below 11 K


秋澤 涼介 (東大); 飯田 光人 (たすく); 相澤 耕佑 (東大); 片山 伸彦 (カブリ数物宇宙連携研究機構); 草間 光治 (AES); 前田 明日香, 松村 知岳, 中川 潤 (カブリ数物宇宙連携研究機構); 大崎 博之, 奥村 皐月 (東大); 桜井 雄基 (諏訪理科大); 髙久 諒太 (KEK); Hoang Thuong (ミネソタ大); Ghigna Tommaso (KEK); 寺尾 悠 (京大)


Abstract:ステッピングモーターはシンプルな回路で正確な位置決めが可能なモーターで、宇宙機上の機械機構にも用いられる。一方で従来の民生品は機上の冷凍環境で運用するには発熱が大きいという課題がある。そこで本研究では真空低温環境において低発熱(<10mW)かつ十分なプルアウトトルク(>5.7 cN m)で動作するモーターとして、高純度銅線とガラスエポキシシャーシを組み合わせたステッピングモーターを開発し、発熱評価試験を行ってきた。特に11 K以下においてモーターを回転させたときにおける発熱の実験的な見積もりを行った。ステッピングモーターの発熱は、軸受摩擦損、コイルのジュール損、ヒステリシス損および渦電流損の4つの要因に分解でき、これらをモーターの回転周波数と励磁電流を変化させることでそれぞれ見積もった。結果として7.6 ± 0.4 mW (1.5 rpm 回転時)を達成し、主要な発熱要因として金属軸受における軸受摩擦損もしくは回転子永久磁石が電磁鋼板につくるヒステリシス損が大きいことを明らかにした。本講演では発熱見積もりの方法および結果を報告し、さらなる低発熱化に向けた最適化について議論する。