Ca組成が(Y1-xCax)Ba2Cu3Oy線材の超伝導特性に及ぼす影響

The influence of Ca content on the superconducting properties for (Y1-xCax)Ba2Cu3Oy CCs


中島 恒成, 藤本 竜那, 大木元 勇貴, 三浦 正志 (成蹊大)


Abstract:これまで我々は、TFA-MOD法を用いて(Y0.77Gd0.23)Ba2Cu3Oy ((Y,Gd)BCO)線材に対して、BaHfO3ナノ粒子の導入や酸素アニール条件の制御することで「磁束ピン止め点導入技術」と「キャリア制御による対破壊電流密度向上」を融合し磁場中臨界電流密度(Jc)特性を飛躍的に向上させてきた(NPG Asia Materials 14 (2022) 85, Nature Materials (2024) 23 1370-1378.)。このJc特性の向上は、これまで材料固有値と言われてきた磁場侵入長(λab)やコヒーレンス長(ξab)の値をホール濃度制御によって大きく改善することができたため可能となった。また、ホール濃度を増加させる手法として、YサイトにCaを一部置換する方法がある。Yよりも価数の小さいCaを置換することで、平衡酸素濃度が減少し、ホール濃度の減少が抑制される[4]。そこで、本研究では、Yの一部をCaに置換した(Y1-xCax)Ba2Cu3Oy((Y,Ca)BCO)線材を作製し、Ca組成及び作製条件が臨界温度(Tc)や磁場中J特性に及ぼす影響について検討する。当日は、(Y,Ca)BCO線材の詳細な超伝導特性について報告する。