非線形電流輸送特性の磁場ベクトル依存性を考慮したかご形誘導モータにおける高温超伝導ロータバーの精密設計

Precise Design of High Temperature Superconducting Rotor Bars in Squirrel-cage Induction Motor Considering Magnetic field Vector Dependence of Nonlinear Current Transport Property


山本 真嘉, 中村 武恒 (京大)


Abstract:二酸化炭素排出量の削減という社会的動向の中で、輸送機器の電動化が進められている。超伝導モーターは、高出力密度と高効率という特性を持つことから、積極的に研究が進められており、特に航空機の電動化に伴い、推進システム用の超伝導モーターの開発が活発に行われている。

本研究室では、高温超伝導誘導同期モーター(High Temperature Superconducting Induction / Synchronous Motor, HTS-ISM)の研究を進めている。HTS-ISMは、回転子巻線に高温超伝導線材を用いた超伝導モーターの一種であり、従来の誘導モーターの単純な構造を踏襲している。

先行研究では、自己組織化設計法を用いて航空機駆動用20 MW級HTS-ISMを設計し、有限要素法による非線形電磁界解析を通じて、最大効率97.1%、最大出力密度33.4 kW/kgを達成した。[1,2]

一方で、航空機駆動用超伝導モーターには、冷却機構への熱負荷低減の観点から、さらなる高効率化が求められている。特に、高温超伝導ローターバーにおける交流損失の低減が重要な課題である。本研究では、超伝導体の磁場ベクトル依存性を考慮したローターバー設計を行い、さらなる高効率を実現するHTS-ISMの可能性を示した。

[1] T. Nakamura and Y. Kido, IEEJ Transactions on Electrical and Electronic Engineering, DOI:10.1002/tee.24213 (Open Access) (2024)

[2] M. Yamamoto and T. Nakamura, under review