Nb3Sn線材およびReBCOテープの超伝導特性に及ぼす中性子照射効果

Neutron irradiation effect on superconductivity of Nb3Sn wires and ReBCO tapes


西村 新, 菱沼 良光 (NIFS)


Abstract:ITER TFコイル用に試作されたブロンズ法で作成されたNb3Sn線材、および近年開発されてきたReBCOテープを原子炉内で照射し、その後、15.5 T超伝導マグネット及び温度可変インサート(VTI)を用いて超伝導特性の変化を計測した。研究は継続しており、すべてのデータが得られている状況ではないが、すでに照射実験が終了し、超伝導特性変化のデータ整理が進められている結果の一部を報告する。Nb3Sn線材については、0Kにおける上部臨界磁場(BC2(0))の照射による変化が少なく、従って、照射による臨界電流の低下は高磁場側で小さく、低磁場側で大きくなる。照射によって臨界温度は単調に低下するため、臨界電流-臨界温度曲線は収縮している。従って、コイルの運転温度マージンが低下する。ReBCOテープについては、YBCO、EuBCOおよびGdBCOが照射実験に供された。Gdは低エネルギー中性子の吸収断面積が非常に大きく、臨界温度低下が顕著である。詳細は当日報告する。