超電導電力ケーブルにおける超電導体部分の損失解析

Loss analysis of superconductor portions in superconducting power cables


野地 英樹 (都城高専)


Abstract:本研究では、4層導体+2層磁気シールドケーブル(フジクラ製)を研究対象として、交流損失解析を行った。このケーブルは66 kV-5 kA級ケーブルである。前回の発表では、通電電流5 kArmsのときの損失計算値が測定値より大きかったので、今回は次の3点を修正し再計算した:①臨界電流密度JCの磁束密度B依存性を考慮した、②ケーブルを構成するREBCOテープの各層における巻き付けピッチを調整した、③測定結果に合わせてテープの臨界電流値を修正した。交流損失の解析は、電気回路モデルと3次元電磁界解析により行った。前回の結果では、通電電流5 kArmsで計算値が4.9 W/m、測定値が1.4 W/mであった。それに対して今回の結果は、計算値が1.6 W/mと測定値とほぼ一致している。ケーブルの損失は低電流側では誘電体損失等の損失が優位であり、超電導体部分の損失は高電流側である5 kArmsで優位であるから、今回の計算結果は正しいものと判断できる。