核融合マグネットを目指した単純積層HTSテープ金属含浸導体の20K 8T条件下での通電特性

Characteristics of Metal-Impregnated Simple Stacked HTS Tape Conductors Applied to Fusion Magnets under 20K 8T Conditions


成嶋 吉朗, 柳 長門, 濱口 真司, 小野寺 優太, 力石 浩孝, 馬場 智澄 (NIFS); GARFIAS-DAVALOS Diego (総研大); 宮澤 順一, 後藤 拓也 (ヘリカルフュージョン)


Abstract:世界中で高温超伝導体(HTS)を使用した磁気閉じ込め型核融合炉のための磁石の開発が積極的に進められている。本研究では、ヘリカル型核融合マグネットへの適用を目指した単純積層HTSテープ金属含浸導体の特性と適用性を明らかにするための研究を進めている。三次元構造のヘリカル型マグネットを巻き線する際には、HTSテープには平面曲げ、端面曲げ、ねじれの3つの変形が生じ、その解消が課題となってきていたが、単純積層されたテープを含浸する前に巻き線することで、これらのひずみを抑制できると考えられる[1]。講演ではこの手法で製造された導体の基本的な特性を明らかにするために、U字型に曲げられた2mの直線導体を製造し、核融合科学研究所の試験設備大型試験装置(1m径スプリットコイル(最大約9T)で温度制御(4 - 50K)が可能)を用いて温度20K、磁場8Tの条件下で通電電流19kAで360秒間、超伝導導体部の電圧上昇無しに安定した通電が可能であった。この条件下ではクエンチは観測されなかったため、さらに厳しい環境での通電試験を実施し、報告する。

[1] Y. Narushima, et. al., Plasma and Fusion Research Volume 15, 1405076 (2020)