Effect of quantum tunneling of hydrogen atoms in superconductor
芳賀 雄仁, 太 子周, 小池 健生, 志賀 雅亘, 橋爪 健一 （九大）； 稲垣 祐次 （岡山理科大）； 河江 達也 （九大）
Abstract:水素は質量が最も小さいためへリウムと並んで強い量子性を示す。例えば金属内に侵入した水素は、離散的エネルギー準位の形成やトンネル拡散などの量子的振る舞いを示すことが常伝導状態では確認されている。一方、母金属が超伝導転移するとフェルミ面に超伝導ギャップが出現するため、水素が周囲の電子系より受ける相互作用は大きく低減する 。これにより超伝導体中の水素が示す量子的振る舞いも、常伝導状態から大きく変化すると予想される。例えばトンネル拡散については常伝導状態に比べ指数関数的に増大すると理論的には指摘されている。しかし、超伝導転移した金属内の水素の量子的振る舞いについての実験的研究はほとんどない。本研究では理論で指摘されるように、超伝導転移により金属内水素のトンネル拡散が大きく増大するのか明らかすることを目的に、電気抵抗測定、振動ワイヤ法などを用いて水素トンネル現象に起因する母金属の超伝導特性の変化調べている。講演では、その結果について報告する。