データ駆動型アプローチによる実規模のREBCOコート線材製造プロセスのモデリングと最適化への展開

A Data-Driven Approach to Modeling and Optimization of Full-Scale REBCO Coated Conductor Production Process


木須 隆暢, 呉 澤宇, 世良 真也, 楊 墨, 田中 佑斗, 東川 甲平 (九大); VALIKOV Roman, 中村 美幸, PETRYKIN Valery, LEE Sergey (Faraday Factory Japan)


Abstract:高温超電導線材を用いた小型核融合炉への適用など、応用の進展に伴ってREBCOコート線材のニーズが高まっており、REBCO線材の製造は量産プロセスに移りつつある。一方で、線材製造時のプロセスパラの組み合わせは多岐にわたり、線材性能、歩留まり、信頼性、コストを担保した本格的な量産や事業化のためにはまだ不十分であり、線材製造技術の革新が喫緊の課題となっている。本研究では、筆者らがこれまでに開発した、REBCO線材の臨界電流を非破壊・非接触かつ高速に評価可能なリール式磁気顕微鏡計測と機械学習を融合したデータ駆動型アプローチを実規模のREBCO線材プロセスに適用し、複雑なプロセスの挙動を機械学習を用いてモデリングし、線材特性とプロセス条件との関係を明確化した。製造条件を系統的に変化させたコンビナトリアル試料を用い、作製条件と臨界電流との関係について20,000点以上のデータを取得するとともに、深層学習モデルのトレーニングを実現した。実験との比較により、得られたモデルによって、プロセスパラメータから線材のIcを高精度に推定することを実証した。本手法により、従来のトライ&エラーによるアプローチを脱却し、最適な作製パラメータの組み合わせを迅速に見出すことが可能となる。
本研究は、JSPS科研費 JP19H05617の助成を受けて実施したものである。