EPICSに基づくBelle超伝導ソレノイド用温度モニターの開発

Development of temperature monitor system based on EPICS for Belle superconducting solenoid


青木 香苗, 槙田 康博, 近藤 良也, 川井 正徳 (KEK)


Abstract:Belle超伝導ソレノイドの歪みゲージ計測システムの開発に関しては、昨年の2023年度春季第105回低温工学・超電導学会研究発表会で発表を行った。今回の温度モニターシステムは、この歪測定と同じAgilent Technologies社(現 Keysight Technologies社 )製データロガー34980Aを用いて、歪測定と同時に温度測定(白金測温抵抗体Pt100、白金・コバルト測温抵抗体 Pt-Co、Carbon Glass抵抗体 CGR)を行い、モニター化を実現したものである。
ベースとなるソフトウェアは、歪測定と同じくEPICS(Experimental Physics and Industrial Control System)である。温度計に関しては、抵抗値から温度への換算の際に、複雑な計算を必要とするので、EPICSのIOC(Input/Output Controller)の中で、開発したC言語のサブルーチンを呼び出してその中で変換している。
Belle solenoidは1997年に運転を開始した。当初から現在まで冷凍機の制御に使用する主要なデータは日立総合計装システムに入力されている。だがBelle Solenoidの冷凍システム全体のデータ点数は、この日立総合計装システムの許容できる点数より多いため、当初はsolenoidの歪と温度計のかなりの部分が、別途開発された計測システムで計測されていた。その後加速器、測定器のEPICS化が大きく進み、それに伴い我々も日立総合計装システムのデータに関しては、Gateway PCを介してEPICS化を行い便利なモニターが容易に実現するようになっていた。
これまで、日立総合計装システムに入力されてなかった歪ゲージと温度計は、EPICS化から取り残されていたが、今回の開発でBelle Solenoidの冷凍システムの全データがEPICS化されたことになった。これにより、同じEPICSに基づいている、QCSおよびBell solenoid冷凍システム、及びSuperKEKB加速器、Belle II測定器との相互参照が容易にできるようになった。