火力発電ボイラー内伝熱管の健全性評価のための高温超伝導SQUIDベースの渦流探傷試験技術の開発 -その2-

HTS-SQUID-based Eddy Current Testing for Thermal Tubes of Boiler in Thermal Power Plant -No.2-


廿日出 好 (近大)


Abstract:我々は、火力発電所内ボイラーの火SUS304J1HTB伝熱管に発生する内圧クリープ損傷を早期検出し、管の健全性を評価するため、高温超伝導SQUIDベースの渦流探傷試験(Eddy Current Testing:ECT)装置の開発を行った。本装置を用いて、最大約1万時間までの内圧クリープ試験を行った火SUS304J1HTB伝熱管の測定を行った。内圧クリープ試験前、約2500時間経過、約5000時間経過、約7000時間経過、約9000時間経過、および破断が生じたサンプルについて、各時間で試験を止めて上記のECT装置で管全周の電磁応答を測定し、異常信号が発生した場所の表面付近の断面および組織観察を行った。ECT装置で測定した結果、検出コイルが最小部2 mmのECTプローブを用いた場合、約2500時間から異常信号が計測された。異常信号が現れた場所の観察結果から、これらの異常信号は表面酸化膜によることが示唆された。約10 mmサイズの検出コイルを用いた場合、約5000時間から異常信号が測定され、約7000時間以降で異常信号強度が大きく増加した。測定信号のリサージュ波形を調べることで、約7000時間から測定された異常信号には、表面の酸化膜由来ではない内部欠陥の発生による影響が含まれることが示唆された。