火力発電ボイラー内伝熱管の健全性評価のための高温超伝導SQUIDベースの渦流探傷試験技術の開発 -その1-

HTS-SQUID-based Eddy Current Testing for Thermal Tubes of Boiler in Thermal Power Plant -No.1-


廿日出 好 (近大)


Abstract:我々は、火力発電所内ボイラーの火SUS304J1HTB伝熱管に発生する内圧クリープ損傷を早期検出し、管の健全性を評価するため、高温超伝導SQUIDベースの渦流探傷試験(Eddy Current Testing:ECT)装置の開発を行った。ECTプローブはコの字型の検出コイルと誘導コイルを組み合わせた、二次微分形ECTプローブを用意した。本プローブと、液体窒素冷却した高温超伝導SQUIDグラジオメータ上に設置された高温超伝導入力コイルを結合して磁束トランスを構成し、ECTプローブの検出コイルで測定した配管の電磁応答を、SQUIDグラジオメータを介して読み出す方式を採用した。内圧クリープ試験を施したサンプルを正確に測定する、xyz方向にECTプローブを移動させ、配管を回転するECTスキャナーを用いたシステムと、ボイラー内の実機の伝熱管を測定するための、ECTプローブを手で移動させて伝熱管を検査するシステムの2つを開発した。本稿では、特に前者のECTスキャナーを用いたシステムを用いて人工欠陥を測定し、その装置性能について報告する。