A Data-Driven Approach for the Study of Influence of Deposition Conditions of under REBCO Layers in Multi-Layer Deposition of PLD Processed REBCO Coated Conductors
木須 隆暢, 呉 澤宇, 世良 真也, 東川 甲平 (九大); VALIKOV Roman, 中村 美幸, PETRYKIN Valery, LEE Sergey (FFJ)
Abstract:PLD法は、REBCO線材の量産プロセスとして最も広く用いられているものの一つであるが、実際の製造では、線材をリール間に複数回搬送させるMulti-turnシステムを用いて成膜領域を複数回通過させ、逐次的な成膜を行い、数um程度のREBCO層膜を形成する。この時、下地の層の成膜条件がその上に堆積される膜の特性に及ぼす影響を明確化することは、多層膜あるいは厚膜の形成において重要な課題といえる。本研究では、先行研究においてコンビナトリアル試料と高速のIc計測手法とを組み合わせて、機械学習を融合したデータ駆動型アプローチを実規模のREBCO線材プロセスに適用し、複雑なプロセスの挙動を機械学習を用いてモデリングし、線材特性とプロセス条件との関係を明確化した。この時用いた成膜条件は単層膜を用いていたが、実際の製造条件である多層成膜へ適用するためには、単層膜による特性の線形和の適用可能性や、多層成膜の履歴を考慮した学習の必要性など検討が不可欠である。本研究では、これらの観点から、多層膜成膜プロセスにおいて、下地の成膜条件とその上に積層した膜の特性との関係について、データ駆動型アプローチによって臨界電流Icの挙動を調査し、下地成膜時におけるプロセス条件の支配因子を明らかとした。本知見は、PLD成膜プロセスの挙動を把握するためのデータの取得条件のみならず、実規模の積層製膜プロセス条件を把握するうえで基本的な理解を与えるものである。
本研究は、JSPS科研費 JP24H00320の助成を受けて実施したものである。