国際超電導直流送電プロジェクトと 標準化の検討(1)

International SCDC Power Transmission and Proposal of Its Standardization


長村 光造 (応用科学研); 三戸 利行 (核融合科学研究所); 松下 照男 (九工大); 西島 元 (NIMS); 筑本 知子 (中部大); 早川 直樹 (名大); 富田 優 (鉄道総研); 大屋 正義 (関西学院大); 向山 晋一 (日本電線工業会)


Abstract:SDGs(持続可能な開発目標)に向けて電気エネルギーシステムの再構築を考慮する時期に来ている。
特に太陽光エネルギーの有効活用は必須であり、地球全体で太陽光エネルギーを効率的に受容するためには電気エネルギーに変換して、昼夜による電気エネルギーの使用を平準化することが望まれる。その実現のためには地球規模の送電網を構築することである。
 現状では電力送電の主要幹線にはCu/Al等の常伝導導体が使われている。それらの金属導体の電気抵抗は小さいといえども20,000 kmに達するような超長距離送電ではジュール損(送電量の約5%)を無視することはできない。長距離送電には電気抵抗がほぼゼロに近い超電導直流送電が不可欠となる。
 超電導直流送電によりすべての発電電力を世界で平準化できるので、つまり同時同量性が担保されるので、電力貯蔵の問題は軽減される。
 本提案ではアジアー欧州間の電力送電をモデルケースとして、想定される必要電力量を送電するために要求される超電導直流送電網の要件を考察し、基礎となる実用超電導線の特性、資源量、製造コスト等を試算し、その実現性を提案する。
 さらにかかる世界規模の事業の実現のためには国際的な技術協力が不可欠である。そのシステムとしてIECの国際標準化の活動のもとで実現するのが現実的であることを説明する。