REBCO長尺線材における局所Ic不均一性に係る統計性に関する機械学習画像分類を用いた考察

Statistical consideration on local Ic inhomogeneity in long REBCO coated conductors based on ML image classifi cation


木須 隆暢, 呉 澤宇, 寺﨑 拓也, 今村 和孝, 東川 甲平 (九大)


Abstract:長尺のREBCO線材における臨界電流(Ic)は、仕様で与えられた一定値ではなく、様々な因子によって変動する。工業材料として、その統計事象の把握は線材の特性を記述する上において極めて重要であるにもかかわらず、まだ十分に解明されていない。一般に、長尺線材の統計的なIc分布の記述は、正規分布を用いた取扱が広く行われており、Icの平均値と分散が重要視される。しかしながら、正規分布の背景にある局所不均一性の発生因子は無記憶性で偶発的なものなのか否かについては十分な検証が行われていない。我々は、先行研究において、長尺線材の磁気顕微鏡観察によって局所Ic低下部位を計測すると共に、機械学習によって欠陥画像を分類する手法を確立した。本研究では、本解析結果を用いて、欠陥の発生についてその統計事象を解析し、欠陥間の距離の分布や欠陥頻度や欠陥間の距離の分布について調べた。その結果、欠陥の発生は、局所的なIc低下は偶発的なランダム事象によるものと言うよりは、フラクタル性が強く反映された結果であることを明らかとした。その結果、線材のIc統計分布における極値の振る舞いなど、実用上の問題点について議論する。