20 kA級高温超伝導STARS導体の通電特性と展望

Current-carrying properties of the 20-kA-class HTS STARS conductor and prospects


柳 長門, 成嶋 吉朗 (NIFS); ガルフィアス-ダヴァロス ディエゴ (総研大); 小野寺 優太 (NIFS); 伊藤 悟 (東北大); 濱口 真司, 力石 浩孝, 高田 卓, 平野 直樹, 高畑 一也 (NIFS)


Abstract:NIFS では次世代の核融合実験装置のマグネットへの適用をめざして3種類の大電流容量・高温超伝導導体を開発している。そのうちのひとつSTARS導体は、REBCO線材を単純に積層して銅安定化材ケーシングに収納し、外側にレーザビーム溶接を施したステンレスジャケットを配置するなど、強固な構造を特長とする。20 kA級実用導体の開発において長さ6 mのサンプルを製作し、3ターン巻線のソレノイドコイル形状(直径600 mm)として、NIFSの大口径強磁場導体試験装置において冷却・励磁試験を行った。温度20 K、外部磁場8 Tにおいて18 kAまでの安定な励磁を行えることを確認し、高速(1 kA/s)繰り返し励磁試験も行った。STARS導体ではREBCO線材を単純に積層しているため、線材間のインダクタンスの差により非一様な電流分布が発生する。これによりランプダウン時に導体全体の電流がゼロになった時点で線材間を循環する電流が残ると考えられる。これは残留磁場として計測されるが、その強度がランプレートに比例しており、循環電流のモデルで良く説明できる。第二回試験を行い、循環電流と外部磁場強度の関係なども詳細に調べた。一連の試験結果について報告する。