3芯一括型高温超電導ケーブル1相分の交流損失解析

AC loss analysis for one phase of a three-core high-temperature superconducting cable


野地 英樹 (都城高専)


Abstract:これまで、2層ケーブル(古河電工㈱製)と3層ケーブル(同社)の交流損失解析に成功してきた。本研究では4層導体+2層磁気シールドケーブル(㈱フジクラ製)を研究対象としている。㈱フジクラ製ケーブルは、2013年に公表された66 kV-5 kA級ケーブルである。ケーブルを構成するREBCO超電導線材の各層の巻き付け方向と巻き付けピッチ(ケーブル構成パラメータと呼ぶ)は公表されていないため、電気回路モデルにより数式処理ソフトMathematicaを使って計算し、推移式アルゴリズムによりパラメータを決定した。決定したケーブル構成パラメータにより、有限要素解析ソフトCOMSOL Multiphysicsによりケーブルの3次元モデルを作成し、高速化したH formulationによる3次元電磁界解析により交流損失を計算した。計算した損失は、ケーブルモデル長さが長くなるほど指数関数的に減少し、やがて一定値に収束する。一方、計算時間は逆に指数関数的に増加するため、適切なケーブルモデル長さLを決定した(L = 0.3 m)。計算の結果、ケーブルに通電する電流を3 kArmsとしたとき、測定値が0.43 W/mであるのに対し、計算値は0.39 W/mと近い値となったが、交流損失vs通電電流特性をログ-ログプロットした時、測定値の傾きが2であるのに対し計算値は5となった。これより、ケーブル構成パラメータの調整が必要であることが分かった。