SmBCO系バルク超伝導体の高磁場勾配を利用した片側開放NMRによる自己拡散係数の測定

Measurement of self-diffusion coefficient using single-sided NMR with high magnetic field gradient generated by SmBCO-based bulk superconductor


坂藤 正樹, 菊池 翔 (芝浦工大); 高橋 雅人, 仲村 髙志 (理研); 竹村 賢人, 岡 徹雄, 坂井 直道 (芝浦工大); 山本 航輝, 岡村 哲至 (東工大); 横山 和哉 (足利大)


Abstract:我々は,REBCO系バルク超伝導体(RE:Rare Earth)に高磁場を着磁させ,その表面磁場を利用したコンパクトNMRの開発を行っている.今回,SmBCO系バルクの表面に生じた高磁場勾配を利用した片側開放NMRを開発し,各種溶液の自己拡散係数測定に成功したため報告する.
 本研究では60 mm径のSmBCO系バルクを40 Kに冷凍機冷却し,パルス着磁法(PFM)にて磁極表面で約2 Tの磁場を発生させた.NMR信号の測定位置における磁場および磁場勾配は,それぞれ約1.3 Tおよび70 T/mであり,NMR信号の減衰から自己拡散係数を算出した.ノイズ低減のために装置改良を行い,検出精度を向上させることで,自己拡散係数の小さなグリセロールや多成分系(ショ糖+水)の自己拡散係数の測定に成功した.さらに,リチウムイオン電池の電解質の拡散測定を目指し,LiCl水溶液における7Liの自己拡散係数の測定にも成功した.講演では,上記の成果に加えて最新の研究成果についても報告予定である.