形状の異なる BMOを導入した高JcYBa2Cu3Oy薄膜の最適アニール条件の検討

Investigation of optimal annealing conditions for high Jc YBa2Cu3Oy thin films with BMO with different shapes


山本 拓実, 吉田 隆 (名大)


Abstract:REBa2Cu3Oy(REBCO)は、酸素ドープ量yによって臨界温度Tcや臨界電流密度Jcが変化し、最適ドープ状態で最も高い特性が得られる。最近、Miura et al. NPG Asia Materials (2022)14;85で は、TFA-MOD法により作製した等方的なナノパーティクルBMO添加(Y, Gd) BCO薄膜においてアニール条件とJc特性に関して興味深い報告がなされた。具体的にはTcが最も高い酸素アニール条件より低い温度で自己磁場及び磁場中で高 Jcを示すというものである。
我々の研究グループでは、PLD法を用いたBMO添加REBCO薄膜においてc軸方向にまっすぐ伸びたBMOナノロッドやナノロッドのc軸方向のサイズを短くした異方性のあるBMO (切れたナノロッド)を導入することで磁場中のJc特性が向上することが報告してきた。
そこで本研究では、PLD法による様々なBMO形状をYBCO薄膜に導入した際のアニール条件の最適化及びJc特性の向上をアニール条件及びコヒーレンス長、Jcの関係を明らかにすることを目的とした。
異なるアニール温度で無添加YBCO薄膜を作製した際、Tcが最も高くなる温度条件よりも低い温度で自己磁場及び磁場中Jcが向上し、コヒーレンス長は短くなる関係が得られた。
当日は、ナノロッドや短く切れたナノロッド等の形状の異なるBMO導入したYBCO薄膜のアニール効果についても発表する。