REBCOテープの縦曲げにおける曲げ歪分布と破断挙動

Strain distribution and fracture in edgewise bending of REBCO tapes


長村 光造 (応用科学研); 町屋 修太郎 (大同大)


Abstract:超電導マグネット等の応用機器に必要なspiral やpancakeコイルの設計には臨界電流の定量的な曲げ歪依存性の知見が不可欠である。本報告ではREBCOテープにおける臨界電流の曲げ歪依存性の定量的な測定方法についての検討結果を報告する。テープ軸に沿って<100> <110>方位を持つ2系統のREBCOテープを検討対象とした。c軸に沿って脆性的な酸化物層と金属層が積み上げられるような非対称な構造を示す。そのため曲げ歪特性は曲げ方向に依存して異なる特徴を示す。
平曲げの場合には歪がゼロとなる中立面に向けて内向き、外向きに曲げることにより薄い超電導層にはそれぞれ引張曲げ歪、圧縮曲げ歪が印加されることになる。一方縦曲げの場合には最大の引張曲げ歪(εb)から最大圧縮曲げ歪(-εb)まで連続に歪が変化して分布する。
本報告では縦曲げの歪分布とその臨界電流への影響を検討した。まず多層構造のテープを直径Dまで曲げた時に内部の各層に生ずる 応力・歪状態を解析的に検討した。実験的に直径Dまで曲げた状態で臨界電流測定を行った。この時電圧測定は引張歪側、圧縮歪側にまたがるように多点で測定を行った。これによりREBCOテープを縦曲げしたときに圧縮破断するか、引張破断するかを判定した。引張破断と圧縮破断では破断モードが異なるが、曲げ条件により種々の破断モードが起こることが明らかになったので報告する。