単純積層REBCO導体を用いた3次元巻線マグネットのエッジ方向歪みの定量評価とその最小化

Quantitative Evaluation and Minimization of Edgewise Strain in 3D Winding Magnet with Simple Stacked REBCO Conductors


成嶋 吉朗 (NIFS); ガルフィアス・ダバロス ディエゴ (総研大); 柳 長門 (NIFS)


Abstract:高温超伝導(HTS)導体の核融合炉のマグネットへの適用を目指した研究を進めている。REBCOテープを単純積層した導体を用いて3次元形状のマグネットを形成しようとする際に、問題となるのはテープの曲げ方向の自由度の低さに由来する制約である。一般にREBCOテープは平面方向には曲げることはできるが、エッジ方向にはほとんど曲げることができず、ひも状の超伝導導体に比べて不利な特性である。また、単純積層構造では電流の立ち上げ/下げ時にテープ毎のインダクタンスの差に起因する電流の偏流が生じるたに、空間的に平均して均一な配置が求められる。これらの課題を克服するために、様々な方式が提案されている。特に、定常電流を前提としたヘリカル形状のマグネットに焦点を当てる際、単純積層導体に分類されるWISE導体について考える。WISE導体は低融点金属で含浸する前に巻き線されるため、歪みや余剰長などが軽減される。1枚のREBCOテープをヘリカル状に巻き線した場合、エッジ歪については最小作用原理に従ってテープが自発的にひねることによって緩和されることが示されている。さらに、複数枚積層した場合についてのエッジひずみを計算した結果、1枚の場合と同様に他のテープに干渉することなくエッジひずみが低減されることが分かった。