ITER TFコイル製作の完遂

Completion of ITER TF coil manufacturing


辺見 努 (量研機構)


Abstract:核融合実験炉ITERでは、予備1機を含む19機のトロイダル磁場(TF)コイルが製作され、日本は9機の製作を担当している。TFコイルは高さ16.5 m、幅9 m、重量310トンのD型Nb3Sn超伝導コイルである。プラズマ中心で磁場5.3 Tを発生するために68 kAを通電し、コイル内の最大磁場は11.8 Tとなる。運転中の600 MNの電磁力に耐えるため、巻線部は約200 mm厚さのステンレス構造物で支持される。
日本の高い技術力と厳しい品質管理に加えて、2007年の超伝導線製作開始から15年に及ぶ関係者の献身的努力と核融合に対する情熱により厳しい要求を達成して、2023年7月に全9号機の製作を完遂した。
本発表では、以下について紹介する。
1) Nb3Sn超伝導体の巻線、熱処理、トランスファー技術
2) 放射線に耐える極低温電気絶縁技術
3) 誤差磁場を低減するための電流中心管理技術
4) 大型極低温構造物の溶接、機械加工技術