磁化のダイナミック測定による希土類系高温超伝導コート線材のE-J特性評価:磁気顕微鏡法とピックアップコイル法の比較

Measurement of E-J Characteristic in Rare Earth-Based High Temperature Superconducting Coated Conductor by Dynamic Measurement of Magnetization: Comparison between Magnetic Microscopy and Pickup Coil Method


呉 澤宇, 東川 甲平, 木須 隆暢 (九大)


Abstract:本研究では、希土類系高温超伝導コート線材の磁化のダイナミック測定によって、広範な電界領域にわたる実測データを取得した。一般に用いられている超伝導線材の電流輸送特性の評価手法は,直流四端子法と磁気モーメントの測定よりJcを導出する磁気的手法とに大別できる。高温超伝導体は熱擾乱の影響やランダムな磁束ピン止め特性によって,なだらかなE-J特性を有する事から,磁化測定における緩和現象が顕著となり,測定条件に伴う電界基準の変化が測定結果に大きな影響を及ぼす。しかしながら,磁化測定におけるこの電界基準の影響は一般には充分整理されていない。また,磁気共鳴画像法(MRI)やNMR用超伝導マグネット応用の観点からは,永久電流モード運転時に対応する,10-12 ~10-10 V/m程度の超低電界領域における臨界電流特性が重要となるが,これは通常の電圧測定による電界感度に比べ6桁以上小さな値であり,従来法では計測が困難な領域である。現時点では,測定可能な高電界側の特性から外挿して近似的な検討にとどまっており,特性解明が喫緊の課題であった。本研究は,高温超伝導体の磁化の緩和現象とE-J特性との関係を明らかにするとともに,外部磁界下におけるE-J特性の評価手法として磁気顕微鏡法とピックアップコイル法の測定結果を比較して述べる。