液体水素間接冷却MgB2コイルの通電特性試験

Demonstration of MgB2 coil system with liquid hydrogen indirect cooling


谷貝 剛, 猪俣 涼, 恩地 太紀 (上智大); 槇田 康博, 新冨 孝和 (KEK); 平野 直樹 (NIFS); 駒込 敏弘 (前川); 濱島 高太郎 (東北大)


Abstract:MgB2コイルを用いた超電導電力貯蔵装置(Superconducting Magnetic Energy Storage: SMES)は、低炭素化を目指した水素社会の発展と、再生可能エネルギー導入促進により、その重要性に注目が集まっている。再生可能エネルギー由来の不安定な電力変動を安定化するため、短周期成分と長周期成分に分けて補償するASPCS(Advanced Superconducting Power Conditioning System)の中心的役割を果たすMgB2 SMESコイルは、体積効率の良い液体貯蔵タンクに溜められる液体水素の冷熱を有効利用して冷却・運転される。本プロジェクトでは、液体水素をサーモサイフォン方式で循環させた配管からの伝熱によって間接的にコイル冷却を行う事で、通電電流や制御信号といった電気系統と水素を完全に分離して、優れた防爆を実現している点に特徴がある。原理実証試験として、定格電流600A, 10 kJの貯蔵容量を持つ積層ダブルパンケーキコイル構成のMgB2コイルシステムを液体水素間接冷却し、直流および三角波交流通電試験を行った結果、ほぼ設計通りの仕様が確認された。講演ではその詳細について報告する