磁化メタン発酵法を活用した生物学的水処理法のカーボンニュートラル化への可能性

Possibility of biological wastewater treatment process under carbon neutral condition utilizing magnetized methane fermentation


猪瀬 絢加, 齊藤 翼, 酒井 保藏, 荷方 稔之, 六本木 美紀 (宇都宮大)


Abstract:メタン発酵法は水中の有機物をメタンとCO2(バイオガス)として除去するプロセスである。磁気分離を適用することで高濃度の嫌気性微生物を保持して効率を高め、微生物の分離も確実に行なえるため、前段のメタン発酵で有機物の大部分を水中からエネルギーとして回収し、後段の好気処理で必要な曝気電力を得るプロセスの構築が可能となる。メタン発酵の水温を20℃に設定すると4000 mg/LのCODを含む排水を処理した場合、バイオガス発電の文献値を用いると、15℃の排水を20℃に加温し、かつ後段の曝気電力を100%自給できる可能性が示された。有機成分のほとんどがバイオガスに転換されるため余剰汚泥も抑制でき、活性汚泥法と比較して約1/3容積のプロセスで同等の水処理を行なうことができると試算された。水温が20℃以上であれば廃熱は外部に供給することもできる。