変動磁場用MgB2線材の基礎検討 ―臨界電流密度と履歴損失―

Basic study of MgB2 wire for variable magnetic field - Critical current density and hysteresis loss -


田中 秀樹, 児玉 一宗, 鈴木 孝明, 小瀧 博司 (日立)


Abstract:液体水素温度20Kでも使用可能なMgB2線材は,直流用線材としては長さ数キロメートルの加工単位長が実現され,Wind & React法で作製したMgB2磁石が高い安定性を示すなど実用化に近づいている。一方で,電動航空機用モータやSMESなど,交流や変動磁場応用機器に向けた低交流損失型のMgB2線材の開発が期待されている。MgB2線材は多芯化・ツイスト加工が可能なことから,低温超電導線材で培われた低損失化の知見が活用できる。履歴損失低減のためにフィラメントを細くする,結合損失低減のためにツイストピッチを短くする,などである。筆者らは、低交流損失型MgB2線材の基礎特性を把握すべく,フィラメント間金属には強磁性材を用いない断面構成にて長さ1m程度の線材を試作・評価した。本報告では,その基本特性である臨界電流密度と履歴損失の評価結果について報告する。