伝導冷却All-HTS 900 MHz NMR磁石に向けたintra-Layer No-Insulation (LNI) REBCOコイルの設計検討

Design study of an intra-Layer No-Insulation (LNI) REBCO coil for conduction-cooled All-HTS 900 MHz NMR magnets


末富 佑 (理研); 田中 湧也, 高尾 智明 (上智大); 柳澤 吉紀 (理研)


Abstract:現在のNMR磁石開発においては、主に超高磁場化(> 1 GHz: 23.5 T)を目的としてHTS線材が使用されている。一方で、広範な普及には、(i)小型、(ii)永久電流、(iii)液体ヘリウムフリー(冷凍機による伝導冷却) を全て備えていることが望ましい。(i)の観点から、LTSコイルを用いないAll-HTSコイル、(ii)の観点から、レイヤー巻コイルが適している。(iii)の伝導冷却に関して、パンケーキ巻HTSコイルに伝導冷却を適用した報告は多数存在するが、レイヤー巻HTSコイルに伝導冷却を適用した事例は極めて少ない。巻線内部に冷却のための伝熱パスを引き入れることが困難だからである。一方で、著者らが提案しているintra-Layer No-Insulation (LNI)法は、クエンチ時の電流迂回経路のために、レイヤー巻コイル巻線全層間に銅シートを挿入する。これを伝熱パスとして用いる事で、レイヤー巻HTSコイルにおいても伝導冷却を適用できると考えた。最終的に、900 MHz (21.1 T)級の伝導冷却LNI REBCO NMR磁石の開発を目指す。本研究ではまず、開発が必要な要素技術を調査するために900 MHz LNI REBCO NMR磁石の概念設計を実施した。主に磁場均一度とクエンチ保護の観点から報告する。
本研究はJSPS科研費JP21K20419、及び、理科学研究所基礎科学特別研究員制度の支援を受けたものである。