kA級大容量MgB2ラザフォード導体の電流再配分と安定性

Experimental and Numerical Study of Current Re-distribution for Stability in a Newly Developed kA-class MgB2 Rutherford Cable.


谷貝 剛, 猪俣 涼, 中川 優, 星野 壮太 (上智大); 恩地 太紀 (鉄道総研); 平野 直樹 (NIFS); 槇田 康博, 新冨 孝和 (KEK); 駒込 敏弘 (前川); 濱島 高太郎 (東北大)


Abstract:2050カーボンフリーに向けて、電力システムの低炭素化は喫緊の課題である。本グループは、再生可能エネルギー由来の電力の安定化と、液体水素供給網の高度利用を両立してカーボンフリーに貢献できるAdvanced Superconducting Power Conditioning System (ASPCS)を提案し、その中心となるMgB2超電導電力貯蔵装置(SMES)の研究開発を進めてきた。社会実装には、より大容量のSMESが必須だが、フィールド試験実績のあるNbTi製のSMESのMJクラスには未だ届いていない。MgB2がA15線材と同様に曲げに弱く、大容量導体・コイル製作のためには、超電導特性の劣化を最小限にする設計・製作手法の確立が必要である。今回、液体水素温度20Kにおいて貯蔵容量MJのSMES実現に大きく貢献する定格1.5 kAのMgB2ラザフォード導体の設計・製作に成功した。熱擾乱を印加したところ、効果的な電流再配分が観測され、高い安定性を有することも確認した。講演では、電流再配分について理論的な解析を行い、大容量導体の特性についての詳細を報告する。