結晶配向性の異なるREBa2Cu3Oy線材の酸素アニール中抵抗率測定による酸素拡散速度の検討

Study of O2 diffusion rate of REBa2Cu3Oy Coated Conductors with different crystallinity by measuring resistivity during O2 annealing


伊東 智寛, 坂井 佑輔, 土屋 雄司 (名大); 一野 祐亮 (愛工大); 吉田 隆 (名大)


Abstract:REBa2Cu3Oy(REBCO)は、化学式における酸素ドープ量yによって臨界温度Tcや臨界電流密度Jcが変化し、y ~ 7で最適ドープ状態となり最も高い特性が得られる。しかし作製直後のREBCOは酸素欠損を含んでいるため、酸素アニールによって酸素を薄膜内に導入させることが不可欠である。この導入された酸素は、主に薄膜内の結晶粒界を介して膜全体に酸素が拡散する。
 結晶粒界が少なく結晶配向性の高い薄膜は酸素拡散が充分に行われないことが報告されている。特に液相エピタキシー(Liquid Phase Epitaxy : LPE)法では単結晶に匹敵する薄膜作製が可能である一方、酸素拡散が不十分で高Tc及びJcが得られないことが報告されている。
 以上から本研究では高い結晶配向性を有するREBCO線材の超伝導特性向上を目的として、酸素アニールの最適化を行った。その手段として結晶配向性の異なるREBCO線材の酸素アニール中抵抗率測定による酸素拡散速度の検討を行った。