大容量撚り線導体に適用するMgB2線材の製造方法と機械特性の相関

Investigation of correlation between manufacturing and mechanical feature of MgB2 strands applied for large-scale conductors


谷貝 剛, 高橋 雅史 (上智大); 駒込 敏弘 (前川); 槙田 康博, 新冨 孝和 (KEK); 平野 直樹 (NIFS); 濱島 高太郎 (東北大)


Abstract:MgB2素線の開発は、MRIや電力機器応用で想定される磁場中において、十分な臨界電流特性を示すまでに発展してきた。直径1 mm前後の丸線形状が一般的なMgB2素線は熱処理の前後で曲げ歪み感受性があり、特に熱処理後の許容歪みが0.2%程度となる点に注意が必要である。本グループでは、主に超電導電力貯蔵装置SMESへの適用を念頭に、大容量kAクラスのラザフォード導体、および数10kJクラスの蓄積エネルギーを有するコイル開発を行ってきた。その中で、曲げ歪みを許容値以内に収めた導体・コイル設計でも、実測したIcは最大で30 %程度劣化していた。X線マイクロCT等で素線内部観察を行ったところ、MgB2フィラメントを覆っているNbのバリアが破れ、熱処理前のMg粉が周囲の金属(Cu等)と反応している事がわかった。これはバリア材の構成方法に起因していると考えられるため、数社のサプライヤーで、異なる製造工程を採用している線材について機械特性を調査、内部観察と合わせて超電導特性との相関を解析したので報告する。