CaF2最表面中間層金属基板を用いたFe(Se,Te)コート線材の強磁場臨界電流測定および磁束ピンニング機構の考察

High-field Critical Current Measurements and Consideration on Flux Pinning Mechanisms in Fe(Se,Te) Coated Conductors Fabricated on Metal Substrate with CaF2 Topmost Buffer Layer


岡田 達典, 滝澤 和輝, 淡路 智 (東北大); 鍋島 冬樹, 色摩 直樹, 前田 京剛 (東大); 中岡 晃一, 和泉 輝郎 (産総研); 一瀬 中 (電中研)


Abstract: Fe(Se,Te)は、小さな有効質量異方性(~2)と磁場にロバストな臨界電流特性を持つことから、強磁場マグネット応用に適していると考えられる。
 更なる通電特性向上への方策・マグネット応用へのポテンシャルを探るべく、Fe(Se,Te)薄膜を成膜する際に用いる単結晶基板として最も優れた超伝導特性をもたらすことが知られているCaF2に着目した。配向中間層付き金属基板(最表面: CeO2、産総研提供)の最表面にCaF2を蒸着し、その上にFe(Se,Te)膜を成膜(PLD法、東大前田研成膜)したFe(Se,Te)コート線材に対し、最大19 Tまでの磁場下で通電測定を行った。その結果、CeO2最表面中間層試料に比べ、低温領域での臨界電流特性の向上を確認し、更に、低磁場領域においては面内方向の臨界電流が窪む特異な振る舞いを観測した。このような振る舞いの起源として、数値計算に基づくナノ粒子ピンニングの可能性について議論したい。