パウダー・イン・チューブ(PIT)法による7芯MgB2線材の超電導接続 -2

Superconducting joints of power-in-tube processed 7-filamentary MgB2 wires -2


熊倉 浩明, 滝川 博幸, 松本 明善, 北口 仁 (NIMS)


Abstract:前回の2020年春の低温工学では、PIT法による7芯MgB2/Cu線材の超電導接続について報告した。その際、向き合う2本のMgB2素線材のMg-Bフィラメントの位置(位相)が一致するようにして接続を作製したが、これは実際に超伝導接続を行う現場においては、かなり困難な作業となる。そこで今回は、向き合う素線材のフィラメント位置(位相)の食い違いが最大となる角度30度のズレ(線材断面は6回回転対称)を有する接続を複数作製し、構造・組織と臨界電流を評価した。このフィラメント配置においても、接続部の臨界電流Icはバラツキはあるものの線材自身の臨界電流の50%程度の値が得られた。熱処理後の構造・組織観察の結果、MgB2フィラメントは接続部においてかなり歪んでいるが、Cu安定化材へのMgの滲み出し等はほとんど見られなかった。これより、7芯線材の接続を作製する場合は、2本の線材のフィラメント位置のズレを気にしなくても、かなり良好なIc特性の得られることが判った。