新規ボライド系水素液化用磁気冷凍材料のアトマイズ粒の作製

Atomization of New Magnetic Refrigerant in Borides for Hydrogen Liquefaction


竹屋 浩幸, 山本 貴史, Baptista de Castro Pedro, 寺嶋 健成, 沼澤 健則, 高野 義彦 (NIMS)


Abstract:水素液化温度領域で動作する磁気冷凍材料として、P.Castro、寺嶋、高野らが発見したHoB2は、30K以下で、0-5Tにおけるエントロピー変化量-ΔSM(J/cm3 K)のピーク値が初めて0.3を超える磁気特性を持つ材料である。この値は、これまでこの温度領域の磁気冷凍動作材料として有望視されてきたElAl2やHoAl2凌ぐものである。このエントロピー差ピークの高い磁性材料の発見は、より効率的なAMR(Active Magnetic Refrigerator)冷凍システムを設計することを可能とする。例えばより低い磁場で動作させたり、半分の量の磁気冷凍材料をチャージしただけで済むことになり、コンパクトな磁気冷凍システムが実現できる。
本研究では、HoB2材料をAMRシステムにチャージするために材料の球状化を試みた。システム設計上、ガス冷媒を用いて効率よく磁気熱量効果による冷熱量の移動を行わせるための磁気冷凍材の形状が300~400μm程度の球体が最適とされており、高い磁気特性を示すHoB2の特性を最大限活用するためには球状化が必要である。HoB2は、2200℃で部分溶融(HoB4とHo融体)し、2350℃で全溶融する。この温度では、通常の耐熱るつぼは使用できない。そこで原料棒を直接高周波で加熱し、るつぼフリーでガスアトマイズすることにより、球状化することに成功した。講演では、実験条件、生成したアトマイズ粉のモルフォロジーや性質を中心に紹介する予定である。