1.3GHz NMRの超伝導プローブ利用の可能性

Possibility of superconducting probe application for 1.3GHz NMR


大嶋 重利 (山形大)


Abstract:NMRの感度を向上させる目的で現在、1.3GHz NMRの研究開発が進められている。NMRの感度を向上させるためには、プローブの検出感度を向上させることが有効である。我々はJSTのプロジェクトにおいて800MHz NMRの超伝導プローブを開発し、超伝導プローブを用いるとNMRの感度が向上することを明らかにした。しかし、800MHzNMRの外部磁場は18.8Tであり、1.3GHz NMRの30.5Tと比べ極めて小さい。はたして、30.5Tの磁場化でも超伝導薄膜の表面抵抗は小さいかどうかを検討する必要がある。我々は、表面抵抗と臨界電流密度が反比例するという関係を用い、超伝導薄膜の30.5T下の表面抵抗の値を推定した。その結果、超伝導薄膜の表面抵抗は30.5Tの磁場化においても、銅薄膜の値よりも2桁程度小さいことが分かった。したがって、1.3GHzNMRにおいても超伝導プローブはNMRの感度向上に有効であることが示された。当日はその結論に達した過程を詳細に報告する。