直線形状高温超伝導WISE導体における1kA級通電実験

Experiment on linear high-temperature superconducting WISE conductor


成嶋 吉朗 (NIFS); 松永 信之介 (総研大); 宮澤 順一 (NIFS)


Abstract:高温超伝導体(HTS)を用いた直線状WISE(Wound and Impregnated Stacked Elastic tapes)導体を作製し、2kA通電に成功した。22枚のREBCOテープを金属フレキシブルチューブで束ね、全長90cm、内径13.3mmのアルミパイプに挿入し、低融点金属U-ALLOY60で含侵して直線状WISE導体を作製した。アルミパイプ両端に接続した長さ18cmの無酸素銅製の電流導入導体とHTSテープ線材との間は含侵した低融点金属を通して電流が流れる構造とした。これにより、HTSテープ線材毎にインジウム箔を挟みこむ構造を廃し、電流導入部の構造を簡単化することができる。WISE導体を液体窒素で冷却し最大2kAを通電した結果、臨界電流値は約1kAであった。一方で、2kAを長時間通電した際、通電開始から40秒経過後にクエンチが観測された。クエンチが発生するまでに要する時間は冷却サイクルを経るに従い延び、6回目の冷却サイクルでは590秒間通電してもクエンチが観測されなくなった。今後、より長時間の定常通電による特性の観測と常伝導伝搬分布の詳細な解析等を行い、冷却サイクル依存性を明らかにする。