長尺高温超伝導線材の臨界電流評価手法の比較検討

Comparison among characterization techniques for long length HTS tapes


鬼塚 雄大, 木須 隆暢, 呉 澤宇, 東川 甲平 (九大); 町 敬人, 衣斐 顕, 和泉 輝郎 (産総研)


Abstract:高温超伝導線材の応用において、臨界電流の長手均一性は重要な性能指標の一つで有り、応用機器の信頼性向上の鍵を握る。典型的にはTapeStarやリール式高速磁気顕微観察(RTR-SHPM)に代表される線材磁化を連続的に測定する手法と四端子法による通電法を適用して尺取り方式で各区間のI-V特性を測定する手法に大別出来る。前者は高解像度な測定が可能である利点を有する一方、直接的な通電法によるIcやn値との対応が不明確である。一方、後者は、実際の実用環境に近い大電流印加時の特性を計測し、Icのみならずn値の情報を得ることが出来る利点を有する。しかしながら、端子間距離はメートルオーダーで有り空間解像度の点で劣る。この様に、長尺線材の臨界電流評価は、実用材料の基礎的評価手法であるにもかかわらず、これらの手法による測定結果の定量的な関係は未だ明確化されていない。我々は、前報(2020年春季研究発表会)において、短尺試料を用いたモデル試料において、TapeStar方式による1次元的解析手法とRTR-SHPMによる二次元的解析の比較検討を行い、TapeStar方式におけるIc導出の留意点について報告した。本研究では、さらに、実際の長尺線材について、TapeStarならびにRTR-SHPMによる測定を実施し、その結果について比較検討を行った。更に、同一線材を用いて、尺取り式四端子測定を行い、Icならびにn値の長手依存性と、RTR-SHPMによって導出されるIc値の長手変化との関係について明らかとした。
謝辞:本研究はJSPS科研費 JP19H05617の助成を受けたものである。