過熱液体の突沸現象を応用した高温超伝導機器の局所温度上昇検出〜検出原理の理解

Applying a vapor explosion in superheated liquids to detection of local temperature rise for high-temperature superconducting applications - Understanding of detection principle


高畑 一也 (NIFS)


Abstract:細管に液体を封入し外部から加熱すると,沸点に達しても沸騰せず液相を保ち,準安定な過熱状態になることが知られている。さらに温度を上げるとある決まった温度で急激な沸騰(突沸)を起こす。この温度を過熱限界温度と呼び,液体窒素では約110Kである。本研究では, サブクール窒素を封入した内径1.0 mm,長さ約16 mの長尺細管に対し,任意の場所を局所的に加熱する実験を行い,突沸現象による急激な圧力上昇を,端部に取り付けた圧力計1台で検出できることを明らかにした。この現象を応用すれば,高温超伝導機器の局所温度上昇を簡便に検出できる可能性がある。今回は,前回報告した基礎的実験の結果を用いて,細管内で起こる突沸現象とそれに伴う圧力上昇の過程について考察し,検出原理の理解を深めた。