局地磁束バイアスを用いた単一磁束量子メモリシステムの設計と動作検証

Design and operation verification of single flux quantum memory system by using local magnetic flux bias technique


浅田 峻汰, 山梨 裕希, 吉川 信行 (横浜国大)


Abstract:超伝導回路を高性能化する手段の一つとして超伝導位相シフタが検討されている。超伝導位相シフタとは超伝導体中の巨視的波動関数の位相をシフトする素子である。この素子を超伝導回路に導入することで、回路の省面積化や低消費電力化が可能である。先行研究では位相シフタとして π ジョセフソン接合や位相バッテリーを用いた研究が行われているが回路作製が困難という問題がある。本研究では、磁束量子を蓄えるストレージループに磁束を印加することによって位相シフトを実現する局地磁束バイアスという方法を用いた。この方法は回路作製プロセスの変更や、回路冷却時の操作をすることなくチップ上に配置された 1 本の磁束バイアス線に電流を流すことによって、チップ上のあらゆる回路部で位相シフトをすることができる。本研究では、局地磁束バイアスを用いた相補出力 Non Destructive Read-Outを用いてデコーダを構成しメモリシステムの省面積化、低消費電力化を図った。設計の詳細と測定結果については当日に発表する。