超流動ヘリウムを用いた超冷中性子源の開発(2)超流動ヘリウム及び熱交換器に関するシミュレーション検討

Development of Ultra Cold Neutron Source Using Superfluid Helium (2) Simulations and Design Studies on Superfluid Helium and Heat Exchangers


岡村 崇弘, 川崎 真介 (KEK)


Abstract:超冷中性子は冷中性子を0.8K近傍のHe-II中に打ち込むことにより生成される.超冷中性子生成中においては10W程度の負荷がHe-IIに印加されることになり,このときのHe-IIの温度上昇・勾配を許容値程度に抑えるダクトデザインが求められる.1 K近傍からサブケルビン領域の超流動ヘリウムに関する熱伝達実験はいくつかあるものの,それらのほとんどがクヌーセン数で1程度のものがほとんどであり,クヌーセン数が1より十分に小さい系における熱流動特性は十分に明らかにされていない.また0.8 Kを生成するためには3Heが不可欠であり,また各温度ステージ毎に熱交換器が設置されるが,これらは4Heならびに3Heに関する熱流動特性やカピッツァ抵抗等を考慮しデザインする必要がある.本報告では超冷中性子生成時の0.8 K~1 K近傍の超流動ヘリウムに関する流動状態の判定及び温度上昇についての予測計算ならびに熱交換器に関する熱流体シミュレーション結果ならびにそれらから得られた形状等について報告する.