Oxygen diffusion in REBCO melt-solidified bulks annealed under flowing humid oxygen
元木 貴則, 箭内 優, 布川 航太, 権藤 紳吉, 下山 淳一 (青学大)
Abstract:REBCO溶融凝固バルクは、強磁場を捕捉できるため強力超伝導磁石としての応用が期待されている。REBCO材料の特性として、酸素量を制御しキャリアドープ状態を最適にすることで高い超伝導特性が実現するが、溶融凝固バルクの場合は100%に近い高密度のために酸素拡散が遅く、バルクの大型化に伴い必要な酸素アニール時間が大幅に増大する傾向がある。そのため、大型バルクでは数百時間という長い酸素アニールを必要としている。
これまでのREBCO薄膜における研究から、水蒸気含有酸素雰囲気中ではCu-O二重鎖型の積層欠陥が導入されることを見出した。この結果を踏まえ本研究では、溶融凝固バルクに対する水蒸気含有酸素雰囲気での酸素アニール効果を明らかにすることを目的とした。REとしてYを選択し、Ag2Oを10 wt%添加したおよそ13 mmφ のYBCO溶融凝固バルクを2つ作製し、水蒸気含有酸素雰囲気および通常の乾燥酸素雰囲気下で400℃においてそれぞれアニールした。アニール時間を徐々に追加することで、その質量変化から酸素の拡散係数を見積もった。これらの結果を踏まえ、水蒸気含有酸素雰囲気中でのアニール時間短縮の可能性について議論する。