超電導ケーブルシステムへのゲッターポンプの適用

Adoption of getter vacuum pumping unit for HTS superconducting cable system


渡部 充彦, 増田 孝人 (住友電工); 三村 智男, 棚澤 昌幸, 山口 博史 (東京電力)


Abstract:超電導ケーブルシステムの実用化を考えた場合、長期に亘り運転中の断熱性能を維持し熱負荷の増加を抑制することが重要となる。主に用いられている真空断熱方式では、材料からのアウトガス等による真空度の劣化により熱負荷が経時的に増加し、運転効率の低下や冷却システムの冷却能力を逼迫させるなどの問題が起こる。この対策としては定期的に真空排気を行うなどのメンテナンスを実施することになる。一般的にターボ分子ポンプなどの機械式排気装置が使用されるが、これらは設置スペースを多くとるだけでなく、定期保守や故障時の真空リーク防止対策に多大な労力を要する。これらの問題を解決するため、物理的、化学的にアウトガスを吸着・吸蔵するゲッター真空排気装置(ゲッターポンプ)に着目した。このポンプの主な特徴は、機械的な可動部を持たず小型で故障確率が低いこと、吸着・吸蔵された気体は再放出されず、故障時も最小限の真空劣化に留められること等である。適用する真空槽のアウトガス成分分析、その環境でのゲッターポンプの基礎特性調査を行った後、この排気装置を東京電力・旭変電所に設置した超電導端末真空層に接続し、その真空排気特性について試験・評価を行なったので、その結果について報告する。