REBCO線材における安定化材との電流分配への超伝導層表面の影響

Effect of REBCO layer surface on the current sharing between REBCO layer and stabilizer in coated conductors


北口 仁 (NIMS); 土井 俊哉 (京大)


Abstract:REBCO線材では、MOD法等の化学的成膜法では超伝導層表面に不純物が集中し、超伝導層と銅安定化材との電流受け渡しを阻害することが懸念される。このことから、電流電極近傍での銅安定化材から超伝導層への電流流入を詳しく調べた。超伝導層表面に不純物の多いMOD法線材では全電流が超伝導層に流入する距離(以下、電流流入距離)が13 mm以上であり、不純物を減らした改良型線材では5 mm程度であった。一方で、超伝導層表面の不純物が極めて少ないPLD法線材では、電流流入距離は1 mm以下であった。クエンチ等で常伝導部が発生した場合の安定化材への分流でも同様の傾向になると予想される。今回の結果は、化学的成膜法を用いる場合には超伝導層表面状態を清浄とする製法或いは工程が必要なことを示唆している。
本研究の一部はJST-ALCAプログラムの一環として行われた。