Vapor-Liquid-Solid成長法を用いて作製したSmBa2Cu3Oy線材の結晶配向性と成膜速度

Crystallinities and Deposition Rate of SmBa2Cu3Oy Coated Conductors Fabricated by Vapor-Liquid-Solid Growth Technique.


伊東 智寛, 土屋 雄司, 一野 祐亮, 吉田 隆 (名大)


Abstract:超伝導線材を作製する際、作製コストを抑えるため、高い結晶配向性を保ちつつ高い成膜速度で線材を作製することが必要不可欠である。この目的を達成するべく、我々は通常のPulsed laser deposition(PLD)法に代わりVapor-Liquid-Solid(VLS)成長法を用いて、IBAD-MgOテープ上にSm123線材の作製を行った。このVLS成長法は気相法でありながら、液相を介して結晶成長を行い薄膜作製する方法である。本研究ではこのVLS成長法を用いて、結晶配向性、成膜速度の評価を行った。始めにPLD法の最適条件である基板温度850℃、酸素分圧53 Paにおける条件下でVLS成長法を用い線材の作製を行った。その結果、PLD法はa軸配向粒が生成されないのに対し、VLS成長法はa軸配向粒混在率が12.9 %を示した。原因として、低酸素分圧においては液相が蒸発し、液相の残渣が異相となったと考えらえる。次に液相の蒸発を防ぐために、酸素分圧を200 Paに上げ線材作製を行った。PLD法ではa軸配向粒混在率が5.67 %を示し面直方向のばらつきを示す⊿ωは⊿ω=0.76°を示した。一方VLS成長法は、液相の蒸発が抑えられa軸配向粒は生成されず⊿ω=0.68°を示し結晶配向性が向上した。また、酸素分圧を上げることによりプルームが圧縮され、53 Paの条件では、成膜速度が3.32 nm/secであったのに対し、200 Paに上げることにより成膜速度が15.2 nm/secに向上した。以上よりVLS成長法を用いることにより、高い結晶配向性かつ高い成膜速度を有する線材が作製可能であることが示唆された。当日の発表は各線材の超伝導特性と同条件で作製したPLD法との比較、検討を行う予定である。