MOD法によるREBCO薄膜線材に適する新規酸化物中間層の開発

Development of new oxide buffer layers suitable for REBCO coated conductors by MOD method


元木 貴則, 池田 周平, 権藤 紳吉 (青学大); 中村 新一 (TEP); 土井 俊哉 (京大); 本田 元気, 永石 竜起 (住友電工); 下山 淳一 (青学大)


Abstract: REBCO薄膜線材は、金属基板上に2軸配向した酸化物中間層を堆積させ、その上にYBCOをエピタキシャル成長させることにより作製される。中間層の成膜法としてはIBAD-PLD法やスパッタ法などの真空チャンバー内での成膜が主流であるが、非真空プロセスであるMOD法を用いた低コスト中間層の研究開発も近年盛んに行われている。MOD法を用いた中間層作製の試みでは、CeO2などの1種類の金属からなる単純酸化物を900–1000°Cの高温、還元雰囲気下で金属基板上にエピタキシャル成長させることで成膜する手法が主流である。本研究では、複数金属元素からなる層状酸化物に着目し、低温・低酸素分圧下での配向膜の作製を試みた。
 これまでに我々はフッ素フリーMOD法を用いて、原料溶液にハロゲン元素であるClやBrを添加することによりBa2Cu3O4X2 (X = Cl, Br)で表される酸化ハロゲン化物がYBCO薄膜中に2軸配向して析出し、この酸塩化物がYBCOの結晶化を促進することで結晶性や超伝導特性を大きく改善することを明らかにしてきた。このような知見をもとに本研究では、新たな2軸配向中間層の候補としてBa2Cu3O4X2酸化ハロゲン化物や(Sr,Ca)-Cu-O系層状酸化物の成膜を、MOD法を用いて試みた結果について報告する。